卵管鏡下卵管形成術(FT)は、月経が終わってから排卵までの間に行う日帰り手術です。手術では、先端に極細の内視鏡(卵管鏡)とバルーンを内蔵した「FTカテーテル」という専用の器具を使用します。子宮の入口からカテーテルを挿入し、卵管の入り口にアプローチすることで、閉塞や狭窄を確認・治療します。
まず、患者さまには局所麻酔あるいは静脈麻酔と鎮痛処置を併用し、できる限り苦痛の少ない状態で手術を行います。卵管口が確認できたら、そこにカテーテルを慎重に挿入していきます。
カテーテルの先端にあるバルーンをゆっくりと卵管内へ進め、閉塞や狭窄している部分まで到達させたら、バルーンに圧をかけて拡張します。この操作により、詰まっていた卵管の通過性が回復することが期待されます。バルーンの操作の後に、卵管鏡によって卵管内腔を観察し、粘膜の状態や癒着の有無、再閉塞のリスクなどを確認します。
治療の所要時間は片側で約15分、両側で30分程度です。皮膚を切開する必要がないため、術後の回復も比較的早いのが特徴です。術後は何ら異常なければその日のうちにご帰宅いただけます。
FTは体への負担が少なく、自然妊娠の可能性を高める選択肢として、多くの方に選ばれている治療法です。ご不安な点があれば、事前のカウンセリングで丁寧にご説明いたしますので、どうぞ安心してご相談ください。