卵管鏡下卵管形成術(FT)

卵管性不妊に対する低負担な選択肢「卵管鏡下卵管形成術(FT)」

卵管の通過障害がある場合、自然妊娠が極めて難しくなることもあるため、
早期の診断と適切な治療が重要となります。
当院では、卵管因子による不妊に対して状況に応じた対応を行っております。

卵管鏡下卵管形成術(FT)とは

卵管の通過障害が疑われる場合、治療の選択肢としては、閉塞や癒着を解除する手術、あるいは体外受精を検討することになります。卵管のどの部位に閉塞が生じているかによって、適切な治療法は異なります。

子宮に近い部分(卵管近位部)の閉塞に対して、卵管鏡下卵管形成術(Falloposcopic Tuboplasty:FT)が適応となります。

FTは、子宮側から細いカテーテルを挿入し、卵管の内部から閉塞部を拡張して通過性を回復させる、体への負担が比較的少ない内視鏡手術であり、日帰りでおこなっております。

卵管鏡下卵管形成術(FT)の効果

FTの効果に関する国内外の研究によれば、卵管の開通率は80〜90%と高く、術後の妊娠率はおおよそ20〜35%と報告されています。特に、術後6ヶ月以内に妊娠が成立するケースが多く、ある研究では、術後6ヶ月での累積妊娠率が約50.6%、12ヶ月で約88.8%に達したとされています。 当院においてもこられと同様の数値となっております。

このような方に卵管鏡下卵管形成術(FT)が検討されます

子宮卵管造影検査で、卵管閉塞または狭窄が確認された方で、自然妊娠を希望しており、
体外受精はできるだけ避けたいとお考えの方

※卵管采(卵管の先端)が完全に閉塞している場合や卵管水腫がある場合など、FTの適応とならないこともあります。

卵管鏡下卵管形成術(FT)の手順について

卵管鏡下卵管形成術(FT)は、月経が終わってから排卵までの間に行う日帰り手術です。手術では、先端に極細の内視鏡(卵管鏡)とバルーンを内蔵した「FTカテーテル」という専用の器具を使用します。子宮の入口からカテーテルを挿入し、卵管の入り口にアプローチすることで、閉塞や狭窄を確認・治療します。

まず、患者さまには局所麻酔あるいは静脈麻酔と鎮痛処置を併用し、できる限り苦痛の少ない状態で手術を行います。卵管口が確認できたら、そこにカテーテルを慎重に挿入していきます。

カテーテルの先端にあるバルーンをゆっくりと卵管内へ進め、閉塞や狭窄している部分まで到達させたら、バルーンに圧をかけて拡張します。この操作により、詰まっていた卵管の通過性が回復することが期待されます。バルーンの操作の後に、卵管鏡によって卵管内腔を観察し、粘膜の状態や癒着の有無、再閉塞のリスクなどを確認します。

治療の所要時間は片側で約15分、両側で30分程度です。皮膚を切開する必要がないため、術後の回復も比較的早いのが特徴です。術後は何ら異常なければその日のうちにご帰宅いただけます。

FTは体への負担が少なく、自然妊娠の可能性を高める選択肢として、多くの方に選ばれている治療法です。ご不安な点があれば、事前のカウンセリングで丁寧にご説明いたしますので、どうぞ安心してご相談ください。

治療の流れ

卵管鏡下卵管形成術(FT)治療成績

FT治療成績(2022年12月1日~2024年11月30日)

FT施術件数  32件(他院からの紹介含む)
開通30件/32件(94%)
術後当院で不妊治療継続 17件
一般不妊治療にて妊娠 9件/17件(53%)
一般不妊治療から体外受精に移行 7件/17件

うち、
妊娠 4件/7件(57%)
転院 1件/7件(14%)
治療継続中 2件/7件
(治療中止 1件)
 
総妊娠数 13件/15件(87%)治療継続中を除く
開通不可 2件/32件(6%)

卵管鏡下卵管形成術(FT)治療成績

FT治療成績(2022年12月1日~2024年11月30日)

FT施術件数  32件(他院からの紹介含む)
開通 30件/32件(94%)
術後当院で不妊治療継続 17件
一般不妊治療にて妊娠 9件/17件(53%)
一般不妊治療から体外受精に移行 7件/17件

うち、
妊娠 4件/7件(57%)
転院 1件/7件(14%)
治療継続中 2件/7件
(治療中止 1件)
 
総妊娠数 13件/15件(87%)治療継続中を除く
開通不可 2件/32件(6%)

費用

内容 自己負担額(目安)
片側のFT 約14万円
両側のFT 約28万円

※FTは健康保険適用の手術です。
※高額療養費制度を利用すると、所得に応じた自己負担限度額を超える金額が後日返還されます。

セカンドオピニオンについて

ときわ台レディースクリニックでは、他院での検査結果や診断に基づくご紹介にも対応しております。
「卵管の閉塞があると言われた」「体外受精をすすめられたが、他の方法も知りたい」など、紹介状をお持ちの方や、他院で撮影した卵管造影の画像をご持参いただける方は、診察時にお申し出ください。
必要に応じて、追加検査や画像の再評価を行い、卵管鏡下卵管形成術(FT)が適応となるかを慎重に判断いたします。

紹介いただける先生方へ

当院では、卵管鏡下卵管形成術(FT)のみを目的とした患者様のご紹介にも対応しております。
通院中の患者様にFTが必要と判断された際には、当院にて手術のみを実施し、術後のフォローアップは先生方のもとで継続していただく形での対応が可能です。

事前にご紹介状と検査資料(子宮卵管造影など)をご持参いただければ、診察から手術までをスムーズにご案内いたします。
手術後の所見や経過についても、適宜ご報告させていただきます。

ご紹介に際してご不明な点がございましたら、どうぞお気軽に当院までご連絡ください。

当院について

当院の不妊治療に対する取り組み

一人ひとりに合わせた治療選択をサポートします

ときわ台レディースクリニックでは、排卵のタイミング指導や排卵誘発(内服・注射)をはじめ、人工授精から体外受精、顕微授精、胚凍結や凍結胚移植に至るまで、幅広い治療法に対応しています。患者さまのご年齢や不妊原因、ご希望に応じて、最適なステップをご提案いたします。 妊娠に対する考え方はご夫婦ごとに異なるものです。治療の進め方については、無理に高いステージへ進めることはなく、お二人の想いを尊重しながら、納得のいく治療選択をともに考えてまいります。

治療成績を開示し、納得できる医療を

生殖補助医療(ART)に進まれる方にも、画一的ではなく、それぞれの状況に合わせた柔軟な治療プランをご提案します。当院では、不妊治療は「絶対に成功する治療」ではなく、「妊娠の可能性を高めるための選択肢」であることを誠実にお伝えし、過剰な期待ではなく、現実的な見通しを持っていただくことを大切にしています。
その一環として、当院では治療成績のデータを公開しています。透明性ある情報提供に努め、患者さまが安心して治療に臨めるよう努めています。

男性不妊にも対応し、ご夫婦で取り組める体制を

不妊症の原因のうち、女性だけでなく男性に起因するケースも少なくありません。ときわ台レディースクリニックでは、精液検査を含めた男性側の評価も行い、必要に応じて「ともまさ泌尿器科・皮フ科」との連携のもと、スムーズに診断・治療へつなげていきます。 ご夫婦それぞれの側面からのサポートを大切にし、「一緒に進める不妊治療」の体制を整えています。

フロント
白を基調とした院内
多彩な治療法からベストな選択を

院長挨拶

ときわ台レディースクリニックでは、ご夫婦の価値観に沿った医療の提供をモットーとしています。
タイミング療法や人工授精(AIH)といった、いわゆる一般不妊治療に力を入れていますが、体外受精でなければ妊娠が難しい患者さまには、よくご相談の上、ステップアップをしてまいります。
体外受精などのARTに進まれる場合も、多様な治療法の中から患者さまに最適な手段を選択していきます。画一的な治療はいたしません。
ARTの治療成績はサイト上で公表しておりますので、ご参照いただけたらと思います。
ときわ台レディースクリニックでは、不妊治療だけでなく、一般婦人科にも対応しております。
思春期、更年期、老年期と、すべての世代の女性が安心できる、地域に根差したクリニックであり続けることが目標です。

院長 藤野 剛
 産婦人科専門医
 母体保護法指定医

診療時間・担当医表

以下よりご確認ください。

アクセス

所在地
〒174-0071東京都板橋区常盤台2-5-3 アビアートときわ台3階

最寄り駅
・電車でのご利用=東武東上線ときわ台駅北口から徒歩1分
・JR赤羽駅西口より国際興業バスときわ台駅行き約20分
・車でのご利用=首都高速 板橋本町ランプを下車し、環状7号を高円寺方面に向かって約5分

駐車場
クリニック右並びの三井のリパーク ときわ台駅前 第2駐車場をご利用ください。1時間無料券を発行いたします。

ご予約・お問い合わせ

不妊のことでお悩みでしたらご相談ください。
患者さまお一人おひとりと対話の時間を持ち、
診療しています。